年金積立金、過去最大の204兆円 21年度決算収支
2022年8月5日
厚生労働省は5日、2021年度の公的年金の収支決算を発表した。会社員らが加入する厚生年金と自営業者らが加入する国民年金の合計の積立金が時価ベースで過去最大の204兆6256億円になった。20年度から10兆781億円増えた。21年度の公的年金の運用が大幅な黒字になったことが全体を押し上げた。
厚生年金が9兆8478億円増の194兆615億円、国民年金が2303億円増の10兆5642億円だった。
厚生年金については20年度に新型コロナウイルス対応として実施した保険料納付を猶予する特例制度で、21年度の保険料収入が増えたことも寄与した。国民年金では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)からの納付金が増えた。GPIFの21年度の運用実績は10兆925億円の黒字だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA054WR0V00C22A8000000/
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は5日、4~6月期の運用成績が3兆7501億円の赤字だったと発表した。4~6月の損益率は1.91%のマイナスだった。四半期ベースでのマイナス運用は2四半期連続。急激な物価上昇や欧米の金融引き締めなどによる金利上昇、株安が逆風となった。
資産別の損益額では外国株式で2兆6149億円、国内株式で1兆8120億円、国内債券で6382億円の赤字だった。外国債券は唯一の黒字となり、収益額は1兆3150億円だった。円換算ベースのため、円安が寄与した。
6月末時点の運用資産額は193兆126億円だった。GPIFは国内外の株式と債券の資産構成をそれぞれ25%を目安に運用している。2021年度は通年で10兆円超の大幅な黒字だったが、1~3月期は株安や金利上昇で全資産の運用が赤字になっていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA054S50V00C22A8000000/
GPIFとは…
□国民が払った国民年金と厚生年金の保険料を一括して運用する公的機関。英語名のガバメント・ペンション・インベストメント・ファンドの頭文字を取ってGPIFと呼ばれる。2022年3月末時点の運用資産は196兆5926億円にのぼり、世界最大級の機関投資家とされる。
□市場運用を始めた01年度以降の累積収益額は、3月末時点で105兆4288億円に達する。21年度の収益率は5.42%で、10兆925億円の黒字だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC045O00U2A700C2000000/